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チラシやリーフレットで整骨院さん、接骨院さんからご依頼いただくことも多いです。
数年前から急に増えた印象もありますが、整骨院や接骨院には明確に広告につかえる表現に規制があります。
微妙な表現はまだしもあからさまな法令違反の表現のチラシもまれにみますが、あまり明らかなものは、監査や警告が入る場合がありますので注意が必要です。
整骨院と接骨院と整体院は何がちがうの?
整骨院や接骨院と、整体院は明確に境目があります。
その境目は、国家資格の有無です。
「接骨院」を開業するには、「柔道整復師」という国家資格が必要です。
ちなみに、「ほねつぎ」は接骨院のことです。また「柔道整復院」という院名を名乗っているところもありますがこれも、国家資格が必要になります。
意外と知られていないのですが「整骨院」は法律的にはグレーゾーンです。
柔道整復師法第24条第1項第4号の規定に基づく広告し得る事項の指定(平成11年3月29日厚告70)において、【 施術所の名称】に使用できるものとして「 ほねつぎ 又は 接骨 」 注)単に業務の種類を明記しただけのものならばよい。
と記載されており、
- 接骨院
- ほねつぎ
- 柔道整復院
以外の名称は法的には認められていませんが、一般的になっている整骨院は行政上許可されているという現状があります。
じゃあ整体院は何?
「整体院」は、厳密に言えば無資格でも開業できます。
厚労大臣免許が必要な国家資格は、医師、歯科医師、保健師、助産師、看護師・・・・あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、理学療法士、作業療法士などがあります。
この中に「整体師」や「整体士」という資格はありません。
「整体」というのは民間療法、代替医療などの手技療法を差している言葉になります。似たような資格として、カイロプラティックやエステティシャンも同様で、厳密に言えば
無資格で勝手に名乗っても開業できてしまいます。
ただ資格が存在しないわけではなく、しっかりとした民間資格は存在しますので、一概にすべてが違法な存在ということではないので誤解しないでください。
整体院やカイロプラティック、エステサロンでは、下記の表現が規制されています。
- 治療
- 治る
- マッサージ
- 回復
- 痛みが消える
- 改善する
- 解決する
- 効く
など医療行為を想像させるような表現はすべてNGです。
「マッサージ」は柔道整復師のみ使用できる表現ですので、整体院では使用できません。
よくある「もみほぐし」はOKです。
柔道整復師の広告できる表現
この柔道整復師として開業する院は、柔道整復師法という法律で規制されます。
柔道整復師法の24条に下記のように記載されています。
第二四条 柔道整復の業務又は施術所に関しては、何人も、文書その他いかなる方法によるを問わず、次に掲げる事項を除くほか、広告をしてはならない。
一 柔道整復師である旨並びにその氏名及び住所
二 施術所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項
三 施術日又は施術時間
四 その他厚生労働大臣が指定する事項2 前項第一号及び第二号に掲げる事項について広告をする場合においても、その内容は、柔道整復師の技能、施術方法又は経歴に関する事項にわたつてはならない。
つまり、こういうことです。
- 柔道整復師であることと、名前と住所
- 施術所の名称や電話番号、住所、地図など
- 施術可能な日時
- 厚労相がOKしたこと・・・例えば・・・
・ほねつぎ(又は接骨)
・柔道整復師法第19条第1項前段の規定による届出をした旨
・医療保険療養費支給申請ができる旨(脱臼又は骨折の患部の施術に係る
申請については医師の同意が必要な旨を明示する場合に限る)
・予約に基づく施術の実施
・休日又は夜間における施術の実施
・出張による施術の実施
・駐車設備に関する事項
技術の内容、施術方法、施術の具体的な効果、経歴、実績など一切表現してはいけません。
さらにいえば、そもそもポスティングでチラシなどの広告物を配布することそのものが指導対象になり、場合によっては警告指導されます。
柔道整復師の指導対象になる広告表現
1、「肩こり等でお悩みの方!」
具体的な症例を出すことも認められていません。
2、「最新の施術法で~」
技術や施術方法を具体的に表現することも、その内容を想像させるような表現もNGです。
3、施術風景の写真
施術内容の具体的な写真もNGです。
4、「治療」「治す」などの医療行為を表す表現
治す自信があっても、法的に「治療」ができるのは医師のみですので医師以外が治療という表現を使用することができません。
5、「交通事故相談対応します!」もNG
具体的な症例等を表現することは規制対象になります。
6、料金の記載と各種保険適用
医療保険外の疑似行為が行われる可能性を示唆するような表現もできません。また料金の掲載は一切NGです。参考価格もNGです。
7、お客様の声
症状が回復したことを想像させ、誤解させるような表現はNGです。
8、出身校や経歴の記載
意外とやりがちです。
9、無料体験・無料送迎
これも結構やりがちです。
こんなに厳しいなら、広告なんてできないじゃないか!
意外なところに抜け道があるんです。
広告表現の抜け道
抜け道といっていいかはわかりませんが、表現できる言葉に制限はあるもののウェブサイトでは、規制の対象外になっています。
全国柔整鍼灸協同組合のQ&Aによると、
保険施術料金を掲載する場合は、保険適用と保険適用外料金を必ず分けて、「保険施術による料金は厚生労働省の定める料金です。」というような表現にしましょう。
また、診療時間など「診療」「診察」という表記は「施術」に変更してください。
「診療」等の表記は接骨院では基本的にはできません。
チラシと違い、ホームページはいつでも見ることができるため、患者さんや同業者からの指摘により、保健所や地方厚生局などのチェックを受けやすいです。
と記載がありました。一度参考にしてみてください。
広告表現を無視したらどうなるのか?
無視した広告をだしたところで、すぐに何かが起こることは、稀で、多くの場合、チラシなどの広告物をみた人からの通報で発覚します。
発覚した場合、保健所や厚生局などから広告指導が入ります。
保健所からの注意指導が入った場合、文書提出を求められるケースや、外観広告やその他の広告物の内容もすべてチェックし指導が入ります。悪質な場合は30万円以下の罰金が課せられます。
あわせて保険請求に関しても、違法性はないか不正はないかとチェックが入るケースがあり、もしも不正が見つかった場合、業務停止の場合もあります。
余談ですが罰金刑は、前科がつく刑事罰です。払えない場合は労役場留置という措置になります。多くの場合、1日5000円になるので、30万円罰金担った場合、60日程度は労役作業が必要になります。